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LightPeakの光版、製品化してたんだね。

USB-IFに蹴られたけど諦めなかったIntelの意地がついに日の目を見たね。光になったってことは、更なる高速化が約束されたようなモンか?

ノートPC初の高速光伝送、ソニーはどう実現したか 「VAIO Z」を徹底分析(1)
http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E2E5E2E0888DE2E5E3E3E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E3E0E0E2E2EBE0E2E2EA


それにしてもこのUSBコネクタ、高密度すぎる。もはや接点を足すスペースが無い。

USB2.0接点4pin
USB3.0接点5pin
光接点2口


LightPeakは、高速化っていうのもあるけども、もっと重要なことがあると思う。それは基板設計のイノベーションだ。
たとえばグラフィックカードってものすごくデカくなってきていて、ヘタするとマザーボードよりデカいくらいである。PCIeスロットなので、マザーボードに対して垂直になる。しかも、PCIe Specによる、ボード形状の制約がある。
しかし、このLightPeakで接続したらどうだろう?その制約から解放される。大きくも小さくもできるし、形だって自在にできる。マザーボードと直角である制約がなくなる。
たとえば5インチベイにグラフィックカードをつけたり、外付けのRAIDボックスみたいにしてみたり、RevoDriveみたいなPCIe接続の超高速 SSDをつけたりできるだろう。マザーボードフォームファクタが、上部構造へとシフトする。

すると、その「LightPeak対応デバイス」の基板や筐体設計が、内蔵でも外付けでも全く同じものが共通に使えることを意味する。「5インチベイ型グラフィックモジュール」という製品で販売すれば、デスクトップでもノートでも使える。まあ外の場合は電源確保が必要になるけど。シリアルバスは突き詰めてしまえば、筐体の中か外かが問題では無くなる。実際、今のノートPCに内蔵されている指紋リーダーやカメラなどは筐体内部だけどUSBで接続されているし、SATAeSATAも信号は同じだ。コネクタやケーブル長とかがちょっと違うだけ。

振動に対して脆弱なPCIeに対してコネクタが小さくなるため、振動や衝撃に強くなる。すると梱包が簡素化でき、輸送コストが下げられるかも知れない。しかも取り外ししやすいので、エンドユーザーも取り扱いやすくなる。ちょうど、パラレルATAがシリアルATAになったように。といっても、現在のPCIeがレーンを束ねた構造と同じように、より高速にするには光ケーブルを何本か束ねたモノになるとは思う。

将来的にはLightPeakをチップセットに内蔵するだろう。PCIeバスをマザーボード上を這わせなくて済むようになるので回路設計がラクになるかもしれない。すると開発コストが下げられたり、開発スピードが向上できたり、品質が向上したりする。既製品のスリムPCのマザーを設計するとき、グラフィックをどうするかとか悩んでたのが、LP接続にすればラク、ってなるかも。デスクトップPC設計の自由度が向上するだろう。たとえば、ピザ箱みたいなすっごく薄っぺらい筐体とかも作れるんじゃないかな。それなんてラックマウント。


狭くて細長い筐体に、モジュールを分割して実装することが可能。つまり、ヒューマノイドロボットにPC内蔵なんかもしやすくなるだろう。筒状のモジュールを組み合わせるPCとか。キューブを組み合わせるテトリスみたいなPCとか。

未来のPCは、うしろに細長い穴がなく、正面に5インチベイがたくさん付いたケースになるのかも知れない。5インチベイなら外気を吸いこんだすぐの場所なので、冷却にも適している。BTXフォームファクタのCPU冷却の考え方と同じ。x68000みたいなツインタワーデザインも作れるね。

パラレル路線で頑張ってたSCSIはもう姿を消したように思うかも知れないけども、実はぜんぜん生きている。しかもあなたのすぐ側に。そのUSBメモリの中に。USB Mass Storage ClassはSCSIコマンドを使って読み書きしてます。それと同じように、ファミコンカセットのような細長いPCIeコネクタも姿を消し、物理層は光になっても、論理層は継承されていくだろう。そして、OSI参照モデルの偉大さを改めて知らしめるだろう。



SEE ALSO


チップが統合していくパソコンをみて思った
http://d.hatena.ne.jp/sea-show/20110127/1296061526