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USBコネクタType-Cは上下無用だけじゃなく、ケーブル両端ともType-Cになるのでは説

新たなUSBコネクタ「Type-C」、上下どちら向きでも挿せる規格に - CNET Japan

Type-Cがどうなるか。

記事や話題では、多くの人の生活に密着して経験していることからか「コネクタが上下どちらでも刺さる」ことに焦点が当てられているが、それはもちろんだが、たぶんそれに留まらないと思う。おそらく、Host/DeviceともにType-Cコネクタで統一され、両端がType-Cコネクタのケーブルになるのではないかと推測する。そうなれば、ケーブルのどちらの端をどっちに刺すんだっけ?ということすら悩む必要がなくなる。音声のケーブルと同じになる。

なぜなら、いままではあくまでType-AはHost,Type-BはDevice,と分かれていて、小型化したらmini-Bやmicro-B、どっちもささるOTG用ならmini-ABといった命名だった。それなのにあえて新しいアルファベットを割り当てたのだから、現在のType-A, Type-B, といった分類の枠を超えたものであるという意図が推測できる。そうでなければ、Type-C(Host), Type-D(Device)といったようになるはずだ。

それに、昨今のデジタル機器はモバイル化・小型化が進んだため、Device側だけでなくHost側もかなり小さい。iPad Airなんかも薄いので、Type-Aのレセプタクル(メス端子)が実装できない薄さだ(たしか)。Android端末にもUSB Host機能があるが、micro-B端子からType-Aのレセプタクルへ変換するアダプタを使うくらいだ。 さらに、USBが作られた20年前のCPU処理能力ではHost側の処理は重たいものであったが、今はそういった小型デバイスであっても十分高速なCPUとなり、それほど重くはなくなった。それにUSB3.0と同時に登場したxHCIによって従来のEHCI/UHCI/OHCIと比較してCPU負荷も軽減された。5Gbps以上の転送レートを得るためにほとんどハードウェアが転送を担うようになった。

カタチはAppleのLightningコネクタのような、micro-Bのような、ものになるらしい。それでいてUSB3.1に対応すると宣言しているのだから、少なくとも9pinが必要になる。USB3.0のmicro-Bコネクタでは、互換性を保つためにヨコに長くなってしまった残念な感じになったが、Type-Cでは互換性がないといっているためそんなことにはならないはず。 コネクタのオス側の端子は片面で済ませるのか両面使うのか分からないが、両面使うとすると上下どちらでも刺さることを保証するためにEthernetのAuto-MDI/MDIXのような仕組みが必要になりホスト側のコストが上がるかもしれない。将来性の確保のためにピンに余裕を持たせるかもしれない。

あと、USB PDでは、コネクタが小さいのであまり大きな電力は流せないはず。物理的に(流してもいいけど燃えます)。「15Wまで」とか何か制限がつくんじゃないかとおもう。とはいえ、Type-Cを搭載するような小型なデバイスはそのくらい供給できれば十分だろう。タブレットで12V1A, スマートフォンで5V2Aくらいあれば十分なので。

Type-AやType-Bとの変換

互換性のための変換ケーブルやアダプタも出回るだろう。それはそれで過渡期は混乱すると思う。 秋葉原に売っているヤマタノオロチみたいなケーブルが出ると思う。
・Type-Cオス、 Type-Aオス (Type-AホストとType-Cデバイスを接続)
・Type-Cオス、 Type-Bオス (Type-BデバイスとType-Cホストを接続)
・Type-Cオス、 Type-Aメス (Type-CホストからType-Aメスにして、Type-Aオスの旧デバイスを接続)
・Type-Cオス、 Type-Bメス (Type-Cデバイスを、従来のType-A/Type-Bケーブル使えるようにする)

しかも、USB2.0(4pin)→USB3.0(9pin)と増えてるので、USB3.0(SS)対応デバイス/ホストなのに2.0ケーブル使うとスピードが遅くなってしまうのでよくない。組み合わせのマトリクスがすごい数になる。さらに、SSまで対応していないデバイスについてはSSの5pinは不要なので省略されるはず。だが、将来的には5年もすれば、SS対応/非対応を問わずほとんどType-Cになっていくのではないだろうか。USB PDが流行ったら大電力供給のためだけにType-AとType-Bは残るのかもしれない。3.5インチHDDや5インチ光学ドライブといったようなデバイス。 USB PD対応のType-Aのメス端子には、PD DETECTというピンが2つ増えている。これはおそらく、コネクタが奥まで刺さってないと電力供給しないようにする安全策だと思う。これがType-Cのメス端子のような小型の端子にもつけられるものなのかどうだろうか。

ホストについて

前述の通り、スマートフォンにはmicro-B端子にアダプタを介在してホストになることができる。なら、それと同じものをタブレットやPCにも搭載すれば、ホスト端子がたくさん付けられて便利では?と思うのだが、1コネクタずついちいち変換アダプタを介在するのは使い勝手が悪いだろう。だからそういう製品がないのだと思う。 やはり「USBホストはフルサイズのType-Aメス端子が基本」であり、デバイス側(マウスやキーボード)もそれに合わせてType-Aオス端子になっている。Surface2なんかにもType-Aがついていて「PC」としての立場を保っている。micro-Bメス端子のホストを想定して、micro-Bオス端子のデバイスを作るという流れにはならないのだ。(ただ、例外として、「micro-BとType-Aの両方ついているUSBメモリ」という製品もある。 新製品情報 2013年 | Androidスマホでもパソコンでも使えるUSBメモリー | IODATA アイ・オー・データ機器

その状況が、Type-Cによって変わると思う。「USBホストはType-Cのメス端子でもOK」となるわけだ。つまりType-Cのオスコネクタがネイティブなデバイスも多数登場する。マウスやキーボードから直接に生えてるケーブルの先っちょがType-Cのものや、Type-Cのすごく小さいUSBメモリ(親指どころか小指くらいの)なんかも登場するだろう。過渡期は変換アダプタだらけで混乱すると思うが、何年もたてばType-Cへ統一されていく。 このため、USBホスト端子に必要な実装面積が減るので、より小さな製品にUSBホストを載せることや、より多くのUSBホスト端子を載せるといったことが、製品仕様の視野に入るだろう。Type-CのUSBハブも、より小型化・より多ポート化が実現できる。Type-Aが十分搭載可能なサイズの製品であっても、ケーブルの扱いやすさからType-Cへの移行が進むのではないだろうか。

つまり、いまUSBによる拡張性はタブレットPCサイズ以上のクラスの製品でしか得られなくなりつつある高嶺の花状態なのだが、その状況が改善されることが期待される。より小型の製品であっても、USBによる拡張性が担保されるようになっていく。 それは、どんどん高速化・利便化をするワイヤレスのインターフェースにシェアを奪われ、追いやられつつある状況下での、USBインターフェースの生き残りをかけた、時代にあわせた進化であり、”倍返し”である*1

SEE ALSO

USBによってACアダプタが要らなくなる時代が来る? - 人とか機械とか

USB3.1の規格策定完了 - 人とか機械とか

http://japan.cnet.com/news/service/35040928/ http://www.gizmodo.jp/2013/12/usbusb_9.html http://blog.livedoor.jp/bluejay01-review/archives/35406446.html

IDF 2013 - USB 3.1や新規格「Media Agnostic USB」などUSB関連を総まとめ (3) 新規格「Media Agnostic USB」 | マイナビニュース

*1:USB3.1で転送レートも2倍で裏返しても刺さる的な意味で