あるところに親子がいました。
親は手塩にかけて子供を育てました。
その仲むつまじい関係は近所でも評判でした。
子供は学校で「歌が上手だね」と先生や、歌を聴くのが好きなクラスメイトに喜ばれました。
ある日、子供が「歌手になりたい!」といいました。
親は「そんなものをやっちゃいけません。まじめに働きなさい。」と許してくれませんでした。
家庭科の授業で「電子工作が上手だね」と評価されました。
子供の作る作品はガジェットの好きなクラスメイトに喜ばせました。
それでもやはり親は認めてくれませんでした。
その後、子供が働ける年齢になり、働きはじめました。
親は言いました「いままで手間暇かけて育てたのだから、給料を全部わたしのために使いなさい。」
子供はいいました「でも歌を聴いて喜んでくれる人や、絵を描いて喜んでくれる人のためにも使いたい。もっといろんな人を喜ばせたい」
それでも親は聴く耳を持ちませんでした。
子供は悩みました「親も大事だし喜ばせたいし、歌や絵を描いて喜んでもらう人も大切にしたい。」
子供は貯金もせずに、そのお金のすべてをそれぞれに使うことにしました。
祖父母は言いました
「親にお金を使わない子供なんて何事だ!おまえなんて家族の縁を切る。勘当だ」
と言い捨てて子供の前から去りました。
僕はその子供の叔父みたいな立場にいるのですが、
その子のやってることの半分くらいはおもしろいなあと感じているので、
まあ、お年玉くらいあげてもいいか。と思っています。
面白いことが続くことを願って。
人生短かし。遊べよ青年。