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USB Type-Cのspecを少し読んだので解説する

USB Type-C コネクタがついに策定完了したので少し読んでみた。

USB.org - Documents

usb_31_081114.zip

解凍すると USB Type-Cディレクトリの中にUSB Type-C Specification Release 1.0.pdfがあります。

いまのところわかっている特長的なもの

  • コネクタは楕円の形していてmicro Bくらいの大きさ。裏返してもOK。
  • ケーブルの両端がType-CコネクタなのでどっちでもOK
  • Type-A/Bではオス側(plug)のほうがVBusとGNDピンが長かったが、なぜかType-Cでは逆にメス側(receptacle)のほうが長くなっている。(3.2 USB Type-C Connector Mating Interfaces)
  • いままでのType-AやType-Bとの変換ケーブルやアダプタがおびただしい数ある(3.5 Legacy Cable Assemblies, 3.6 Legacy Adapter Assemblies)
  • いままでに登場したUSB機能をすべてカバーできている。(USB2.0 USB3.1 PowerDelivery BatteryCharge On-the-Go Hub Device Host)

  • 12pinが2列ある。

  • CCピンが増えておりCC LogicやSSのMUXとやら必要なようなので、Type-Cコネクタを備えるHost/Device/DRDは従来からコネクタを変えただけではダメでロジックも追加が必要そう? (4.5 Configuration Channel (CC))。
  • 一部のピンをUSB以外にも使える。たとえばPCIeとか。
  • アナログオーディオ端子として使える。
  • パッシブケーブルとアクティブケーブルがある

12pinが2列ある。

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A列が12pin、B列が12pin、という構造と名前になっている。 Front Viewと書いてあるように正面からみた並びなので、実際に接続されるときはPlug側が裏返しになるイメージ。それでたとえばD+とD-が一致したりすることになる。

  • 4.5.1.1 USB Data Bus Interface and USB Type-C Plug Flip-ability

6pinと7pinの間が軸になって、裏返し接続されることになる。たとえばVBUSは裏返してつながるようにA面B面両方にある。 裏返してもつながるように、メス側のUSB2.0のピン(D+/D-)とUSB3.1のピン(SSRX,SSTX)はそれぞれ2セットぶんある。オス側はD+/D-が1セットしかないのは、べつに裏返してもメス側が両方あり十分だから。しかし、オス側のSSRX,SSTXがなぜか2セットあるのがよくわからない。A2,A3,B10,B11,だけで十分なはずであるし、じっさい変換アダプタはそうなっている(Table 3-19 USB Type-C to USB 3.1 Standard-A Receptacle Adapter Assembly Wiring)。 これは、以下のような理由が考えられる。 1. On-The-Goでどちらがホストになるかのネゴシエーションとも関係しているようす(On-The-Goのことはあまりよくわかっていないが)。 2. 後述するAlternate Modesでの汎用できるピン/ケーブルを増やすため 3. 将来のUSBスピードアップのため

  • 4.5.1.2 Connecting DFPs and UFPs

USBポートはハブの下のほうみたいなダウンポート、ハブの上のほうやデバイスのアップポート、スマホみたいなどっちもポート(DRD, DualRoleDevice)があるが、ダウンとダウン、アップとアップがつながったら使えないですよとちゃんと検出できる。間違っても壊れない。 このメカニズムはUSB3.0にもあり、SuperSpeed BusがLink trainingするときにLMP(Link Management Packet)で自身がDFP/UFPどちらかを示すことでわかる。たとえば両端がUSB3.0 Type-AになっているDebugCapability用のケーブルがあるのだが、それを2ポートハブのダウンポートにつないだときなど。

  • 4.3 Sideband Use (SBU)

SBUピンは将来の拡張用らしい。

一部のピンをUSB以外にも使える。たとえばPCIeとか。

  • 5.1 Alternate Modes

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黄色いピンがほかの事に使える。そのAlternate modeのネゴシエートはUSB PD (Power Delivery)のデータ通信で行う。 USB PDを読むと、たしかPLCのようにVBUSピン上でデータ通信を行って電圧/電流ネゴシエートが出来るのだったと思う。それを使うらしい。 USBデバイスとしては何の機能も持っていないですよということを示すためにAlternate Modesを備えていますよということを示すためにBillboard Device Classに対応する必要がある。

  • 5.1.4 Example Alternate Mode – USB/PCIe Dock

たとえば2リンクあるSuperSpeed用のピンのうち、Tx1/Rx1をUSB SSに、Tx2/Rx2をPCIeに利用して、ノートPCのIO拡張ドックを作ったりできる。PCIe over USB cableができるのでThunderboltに似ている。だがThunderboltは同じデータリンクの帯域の中にPCIeとDisplayportとが混在しているのに対し、USB Type-Cでは物理的に独立したピン/ケーブルを使うところが異なる。

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↓こういうようなもの。

Belkin : サンダーボルトエクスプレスドック

  • そのほか

スマホにMHL規格というのがあり、USB micro BコネクタからHDMI信号をとりだしてプロジェクターで映したりできる。GALAXYやXperiaが対応している。それもこのAlternate Modesで実現できそう。(追記:実際に実現されたようです新しいUSB端子「USB Type-C」でMHLが利用可能に - ケータイ Watch) MHL規格に対応していないものも多く、いまタブレットでは機種によってはUSBコネクタとは別でmicro HDMI端子がついていたりもするが、それもUSB Type-Cコネクタに統合する選択肢が出来たとも言え、実装面積を減らすことができる。もしくはType-Cコネクタ複数実装し汎用性を向上させることもできる。

あくまで汎用的なものなので、USBケーブルの信号減衰が許容範囲内であれば何でも使えそうで、他の通信の機械層(コネクタ・ケーブル)をUSB Type-Cにある程度統合できそうである。eSATAアダプタとか作れそう。

  • データチャンネルと帯域

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24本のピンがすべて独立ケーブルでつながっているわけではなく、たとえばGNDやVBUSはそれぞれ4pinあるがケーブルは1本でよい。接触抵抗を減らすためと裏返してもつながるようにするためpinが多くなっている。 フルスペックのType-Cケーブルは18本ある模様。ただ、16(GND_PWRrt2), 17(PWR_VBUS2), 18(PWR_VCONN)はOptionになるもよう。これはUSB PD用のVCONNと、大電力を流す際のVBUSの抵抗(発熱)を減らすためだろうか。なのでケーブルは太そう。USB3.1/2.0変換用のものは最低限なので10本になる。

Tx1/Rx1, Tx2/Rx2が同時に使うこともできるということが判明したので、やろうと思えばUSB 3.1のSuperSpeedを2linkに拡張したモノが将来的に作れるので、10Gbps x 2の帯域が得られThunberbolt2に追いつくことになる。もしくはそれ以上か。

D+/D-もピンが空いているので2linkあるわけなので、技術的には、ケーブル1本でUSB3.1デバイス2つぶんのリンクも可能な気がする。Host側のRouting Logicが複雑になりxHCIからのport2つぶんを1つのType-CコネクタへRoutingすることになるが。ただ、B6,B7ピンはあるがケーブルが通っていないので、独自ケーブルが必要になるのであまり標準的ではなさそう。データチャンネルを増やしたければ標準でケーブルが通っているTx2/Rx2やSBUを使うほうがよさそう。

SBUはあまっているピンなので自由に使える。

CCはデータのやりとりはなく、電圧による向きの検出だけのようす。

VBUS上ではUSB PD用のデータのやりとりができる。あまり高速ではない(帯域どのくらいあるのだっけ)。

アナログオーディオ端子として使える。

Appendix A, A Audio Adapter Accessory Mode に書いてある。

VCONNとCCをショートするとオーディオモードになるらしい。ふつうの3.5mmアナログオーディオにできるということ。L,R,Mic,GND。 VCONNとCCがショートされている、USB Type-Cオスのコネクタを備えたオーディオジャックのアダプタが作れるということ。

オーディオ端子モードでもVBUSは5V/500mA供給できるらしい。たとえばアンプをつけるとか、プラグインパワーのコンデンサマイクが動かせるとかできるのだと思う。

現代のスマホはUSB端子と3.5mmオーディオジャックとその他もろもろついているが、それを統合するという選択肢ができたということ。実装面積を減らしたりコストダウンしたり、もしくはType-Cコネクタ複数実装し汎用性を向上させることもできる。

だが、オーディオジャックがなくなるとキャラクターのアクセサリが付けられなくなってしまうが。

パッシブケーブルとアクティブケーブルがある

  • 5.2 Managed Active Cables

USB3.1で10Gbpsを達成したが、スピードが上がるとケーブルの信号損失が大きくなるので、信号のリピーターが必要になってくるというのをどこかの記事で読んだ気がする。そのためアクティブケーブルが登場するらしく、そのサポートがある。

そのほか

  • CC logicや、SuperspeedのMUX Routing logicはout of scopeとのことだが具体的はどのように実装されるのだろうか。

  • かなり拡張性のあるケーブル/コネクタになっているので、ここから派生する規格が今後増えてきそうである。それこそexampleのように「Tx2/Rx2をPCIeに使う」というHost/Deviceの規格など。PCIe接続なので色々でき、PCIeスロットの外付けボックスや、SATA Expressアダプタ、PCIe接続のSSDExpressCardアダプタ、Thunderboltアダプタ、などが作れそう。

  • USB PD対応、USB3.1対応、Type-C対応、でxHCIのバージョンが上がるような気がする。同じようにOSの対応も必要。

  • Alternate Modesの具体的なネゴシエート方法が規定されていないが大丈夫なのだろうか。そこはVendor SpecificでHost/Deviceに機能追加して勝手にやってね。ということ?なのだろうか。となると、xHCIやOSの対応もしづらいような気もするが。(あまり詳しくは読んでいない)

  • Type-Cはコネクタが小型なのでスマホタブレット、ノートPCなどでしか使われないようなイメージもするのだが、裏返しでも使えるようになっただけでなくピン数も増えているため、デスクトップでも使われるだろう。機器の大きさに関わらずType-Cになっていきそう。

  • USB PDが規格策定したのは2012/7ころ。いまだに製品が出ていないのは、そのあとの2013/7のUSB3.1や、今回の2014/8のType-Cなども検討していたからであろう。中途半端にUSB PDだけ考慮して製品を作るよりは、USB PD, USB3.1, Type-C, と規格策定が出揃ってから製品化を考えたほうが長期的に見てより良い。中途半端な規格準拠の製品が市場に出回るとエンドユーザが混乱してしまうという問題もある。なので2014年末~2015年からはそれらをまとめた"次世代USB"の製品が市場に出始めるだろう。MicrosoftWindows 9あたりで対応するのだろうか。

SEE ALSO

リバーシブル仕様のUSB規格「Type-C」--その利点と従来のUSB規格との違い - CNET Japan http://japan.cnet.com/news/commentary/35054274/

リバーシブルなUSB タイプCコネクタの規格が完成、Lightning風楕円形状に。搭載機器は来年前半か - Engadget Japanese

AndroidがiPhoneに近づく、裏表気にせず挿し込める「USB Type-C」仕様完成 | マイナビニュース

USB 3.0プロモーター・グループ、USB Type-Cコネクターの生産体制が整ったと発表 | Business Wire

両面どちらでも挿さるUSBの新規格「Type-C」が完成し生産段階に突入 - GIGAZINE

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